Wi-FiアダプターによるアドホックとSoftAP(1)
一、有線LAN接続PCを通じてWi-Fi機器をインターネットにアクセスさせる方法
デスクトップPCを置いている二階の片隅の部屋に無線LANの電波が届かず、ノートPCやiPadでインターネットが使えないという方もおられるでしょう。我が家も、一階のアクセスポイントに近い部屋では無線LANが使えるが、二階のPCルームではまったく使えない。
そこで、図-1のように有線(ワイヤード)LAN接続のデスクトップPCに無線LAN(Wi-Fi)カードを付けてその近辺で無線LAN機器を使えるようにしてみようと考えた。実は、新たに組んだPCによってハブ(L2スイッチ)のポートがすべて埋まってしまったところ、そのPCのために購入したマザーボード、GA-X79-UD5にPCI Express×1の無線LANカードが付属していたので、渡りに船を得ることとなったのである。
図-1

この場合、Windowsにおいてとりうる方法としては、ブリッジ接続によるアドホック・モードを利用する従来の方法と、新たにWindows 7及びWindows Server 2008 R2 から採用されたSoftAPという機能を使う方法とがある(Windows 8も採用)。これら2つの接続を試し、それぞれの設定方法並びに使用上の具体的な異同及び使い勝手について素人ならではの生半可な解説と感想を加えてみたい。
二、ブリッジ接続及びアドホック・モードの設定
1.先ず、以前からWindowsにも備わっているブリッジ接続を利用し、アクセスポイントとしての機能を持たない無線LAN機器同士の通信に使われるアドホック・モードで通信するという手段が考えられる。一般的なブリッジ接続の設定方法については、分かり易い解説がウェブ上に幾らもあるので、ここでは私が行なった、デスクトップ(Windows 7)にブリッジ接続を設定し、それとノートPC(Windows 7及びXP)とをアドホック・モードでつなぐという事例を紹介する。
2.Wi-Fiカードを装着し、ドライバをインストールした後、コントロールパネル又は通知領域の「ネットワーク」システムアイコンから「ネットワークと共有センター」を開き、左ペインの「アダプター設定の変更」をクリックする。既に設定して利用しているネットワーク・アダプター(デフォルトで「ローカルエリア接続」と表示されている)と新たにインストールした無線LANアダプター(「ワイヤレスネットワーク接続」と表示される)を両方選択した状態で、右クリックし、「ブリッジ接続」を選択する。
3.直ぐにブリッジが完了し、「ブリッジネットワーク」(MAC Bridge Miniport)がこのネットワーク接続の画面に現れる。
※ このとき、「ネットワークブリッジを作成するには、インターネット接続の共有で使用されていないLAN接続または高速インターネット接続を少なくとも2つ選択する必要があります。」という警告が現れ、ブリッジができない場合には、「ローカルエリア接続」を右クリックし、「プロパティ」を開き、「共有」タブを開いて、「インターネット接続の共有」内の「ネットワークのほかのユーザーに、このコンピューターのインターネット接続をとおしての接続を許可する」のチェックを確認する。チェックされていれば、これが原因と考えられるので、このチェックを外す(図-2)。
図-2

※ また、機器によってはTCP/IP v6がネットワーク接続の妨げになる場合も少なくないので、ネットワーク内のすべてのアダプターの「プロパティ」内の「TCP/IP v6」のチェックは外しておく方が無難であろう。そうすると、TCP/IPv6が前提となっているホームグループは作成できないが、XPは参加できないので、特に必要とも思われない。各PCのワークグループ名を同一にしておけば、PC間のファイル等の共有は問題ない。
4.次に、「ネットワークと共有センター」画面に戻って、「新しい接続またはネットワークのセットアップ」を開き、「ワイヤレスアドホック(コンピューター相互)ネットワークを設定します」を選択し(図-3)、「次へ」、アドホックについての説明があり、さらに「次へ」と進む。図-4のような「アドホックネットワークのセットアップ」画面が現れる。
図-3

図-4

「ネットワーク名」には、公になっても構わない任意の名称を記入する。これがSSID(Service Set Identifier)となる。
「セキュリティの種類」、ここでは暗号化方式を選択する。当然ながら、暗号化方式は接続する相手側と同一にしておかなければならない。アドホック・モードでは通常WEP(Wired Equivalent Privacy)だけが適用可能である。敢えてWPA2-パーソナルで設定してみると、「このコンピューターに保存されたネットワークの設定は、ネットワーク要件に一致しません。」との表示が現れ、その設定は無効となる。認証方式や暗号化方式には詳しくないので、アドホックにWPAないしWPA2が適用されたない理由はよく知らないが、ハードウェア上の制約によるものらしい。
また、WEPには、64bit、128bitなどの種類があり、このWEPがどの種類のものなのか明記されていない。しかし、次の「セキュリティキー」いわゆるパスワードを設定しようとマウスポインタを欄上にもってくると、図-5のような注意書きが現れる。
図-5

これはつまり、WEP暗号化キーを、5文字又は10文字の16進数文字にすると64bitのWEPに設定し、13文字又は26文字の16進数文字にすると128bitのWEPに設定するという意味であろう。しかし、これは、WEPについて知識のない人にとっては、少し不親切であると言わざるをえない。説明書きを添えて然るべきであろう。
ともかく、128bitの方が安全性は高いであろうから、ASCII文字コードの半角英数字及び記号を使って13文字を入力。
「このネットワークを保存します」にチェックを入れると、文字通りこれらの設定が保存されるが、チェックを入れないと、1回限りの接続となる。
また、一度設定した「セキュリティキー」を変更したい場合は、「ネットワークと共有センター」から「ワイヤレスネットワークの管理」を開き、設定したネットワークを右クリックして「プロパティ」を選択し(図-6)、「セキュリティ」タブを開けば、変更することができる(図-7)。
図-6 図-7

※ なお、一般の無線LANの認証方式及び暗号化方式の選択に関して、独立行政法人の情報処理推進機構(IPA)のウェブサイトに分かり易い解説があるので(「一般家庭における無線LANのセキュリティに関する注意」)、暗号に詳しくない方は一読されたし。
三、接続するWi-Fi機器の設定
1.次に、上記のPCに接続させるノートPC側のワイヤレスネットワーク接続の設定をする。
ユーザ・インターフェイスが異なっても基本的に手順は同じである。
接続の設定画面を開くと、前述のアドホック・モード設定でSSIDを非表示にするという設定をしていない限り、現在受信されている接続可能なワイヤレスネットワークとして設定したSSIDが表示されるはずである。それを選択し、アドホック・モードを選び、暗号化方式の種類等を前述の設定と同じWEPとし、暗号化キーも同一のものを入力する。
例えば、XP標準のインターフェイスを使用する場合、「ネットワーク接続」を開き、「ワイヤレスネットワーク接続」を右クリックし、「利用できるワイヤレスネットワークの表示」を選択すると、「セキュリティの設定が有効なコンピュータ相互ネットワーク」として先のSSIDが表示される(図-8)。これをクリックし、「接続」をクリックすると、図-9のような接続設定画面が現れる。「ネットワーク認証」は「オープンシステム」にし(アドホックでは通常「共有キー」の認証方式はとれないようである)、「データの暗号化」は「WEP」を選び、「ネットワークキー」(「セキュリティキー」・暗号化キーのこと)を入力して「OK」をクリック。「接続」タブを開き、「自動接続」にチェックを入れておけば、PCが電波の届く範囲にある限り、自動で接続してくれる。
図-8

図-9

Windows 7では、通知領域の「ネットワーク」アイコンをクリックすると、同様に現在受信されているワイヤレスネットワークが表示され、SSIDを確認して、その項目をクリックし、必要に応じて「自動的に接続する」にチェックを入れ、「接続」をクリック(図-10)。「セキュリティキー」入力画面が現れるので、同じく定めたキーを入力し、「OK」をクリックする(図-11)。Windows 7の場合「セキュリティの種類」は自動で判別されるようである。
図-10 図-11

2.続いて、ノートPCのIPアドレスの設定である。
アドホック・モードの場合は、接続するアダプターによっては、ルータ等のDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サービスからIPアドレスを自動的に取得できないこともある。私の環境でも、新しいアダプターを備えたWindows 7のノートPC(2012年購入)は自動取得できたが、古いアダプターを備えるXPのノートPC2台は共にIPアドレスを自動で取得することはできなかった。その場合は、以下の手順でIPアドレスを手動で設定しなければならない。
XPの場合、ご存知のように「スタート」メニュー⇒「コントロールパネル」⇒「ネットワーク接続」⇒「ワイヤレスネットワーク接続」を右クリック、「プロパティ」を開く。「インターネットプロトコル(TCP/IP)」を選択し(XPではTCP/IP v4をこう表記する)、「プロパティ」をクリックすると(図-12)、TCP/IP v4のIPアドレスに関する設定画面が開く。「次のIPアドレスを使う」を選び、ブリッジ接続を設定したPC側のIPアドレスと同じネットワーク番号と、他の機器と重なるおそれのない任意のホスト番号を「IPアドレス」の欄に入力する。例えば、図-13のように。
図-12 図-13

因みに、XPでは「ネットワーク接続」を「スタート」メニューに表示させたり、そのショートカットを好きな所に置くことができたが、Win 7ではそれができなくなってしまった。
また、「ネットワーク番号」、「ホスト番号」と書いたが、詳しく言えば、以下の通りである。
前述の「ネットワークブリッジ」の右クリックで「状態」を開き、「詳細」をクリックすると(図-14)、「IPv4アドレス」「IPv4サブネットマスク」「IPv4デフォルトゲートウェイ」「IPv4DNSサーバー」等の数値が確認できる(図-15)。
図-14 図-15

その「IPv4アドレス」が当の「ネットワークブリッジ」のIPアドレスであり、図-15のように「192.168.0.7」というプライベートIPアドレスの場合、デフォルト(即ち、サブネットマスクが255.255.255.0)ならば、ドットで区切られた値のうち、先頭から3番目までをネットワーク番号といい、これらが同じでないと同一のネットワークと判断されない。4番目の値がホスト番号と呼ばれ、ネットワーク内の個々の機器に自由に割り当てられるものである。これを自動で割り当てる機能をご存知DHCPといい、一般家庭では通常ルータなどがその機能を果たしている。
前述したように、アドホックではDHCPによるIPアドレスの自動割り当てを受けることができない場合があるため、手動でIPアドレスを割り当てる必要があるということなのである。
※ なお、IPアドレスについては、文字通りこちらの記事「IPv4アドレスについて」を御覧下さい。
従って、例えば、ネットワークブリッジのIPv4アドレスが図-15のように「192.168.0.7」だとして、DHCPによってアドレスが割り当てられる可能性のある機器が10台前後あるという場合、アドレスが重なるおそれがないようにXPのノートPCには図-13のように「192.168.0.20」と、IPアドレスを入力するのである。
通常、DHCP機能を担わせているルータ等においてDHCPの割り当て範囲を設定しているでしょうから、その範囲外の(もちろん同一ネットワーク内の)IPアドレスを入力すれば問題はない。
さらに、「サブネットマスク」、「デフォルトゲートウェイ」、「DNSサーバー」の値は、「ネットワークブリッジ」と同じ値を入力する。
以上で、無線ルータやアクセスポイントの電波が届かない僻地のPCルームにあるノートPCであっても、デスクトップPCを介してインターネットにアクセスすることができるようになる。
さて、お次は、SoftAPについてであるが、これは「Wi-FiアダプターによるアドホックとSoftAP(2)」としてまとめることにする。
デスクトップPCを置いている二階の片隅の部屋に無線LANの電波が届かず、ノートPCやiPadでインターネットが使えないという方もおられるでしょう。我が家も、一階のアクセスポイントに近い部屋では無線LANが使えるが、二階のPCルームではまったく使えない。
そこで、図-1のように有線(ワイヤード)LAN接続のデスクトップPCに無線LAN(Wi-Fi)カードを付けてその近辺で無線LAN機器を使えるようにしてみようと考えた。実は、新たに組んだPCによってハブ(L2スイッチ)のポートがすべて埋まってしまったところ、そのPCのために購入したマザーボード、GA-X79-UD5にPCI Express×1の無線LANカードが付属していたので、渡りに船を得ることとなったのである。
図-1

この場合、Windowsにおいてとりうる方法としては、ブリッジ接続によるアドホック・モードを利用する従来の方法と、新たにWindows 7及びWindows Server 2008 R2 から採用されたSoftAPという機能を使う方法とがある(Windows 8も採用)。これら2つの接続を試し、それぞれの設定方法並びに使用上の具体的な異同及び使い勝手について素人ならではの生半可な解説と感想を加えてみたい。
二、ブリッジ接続及びアドホック・モードの設定
1.先ず、以前からWindowsにも備わっているブリッジ接続を利用し、アクセスポイントとしての機能を持たない無線LAN機器同士の通信に使われるアドホック・モードで通信するという手段が考えられる。一般的なブリッジ接続の設定方法については、分かり易い解説がウェブ上に幾らもあるので、ここでは私が行なった、デスクトップ(Windows 7)にブリッジ接続を設定し、それとノートPC(Windows 7及びXP)とをアドホック・モードでつなぐという事例を紹介する。
2.Wi-Fiカードを装着し、ドライバをインストールした後、コントロールパネル又は通知領域の「ネットワーク」システムアイコンから「ネットワークと共有センター」を開き、左ペインの「アダプター設定の変更」をクリックする。既に設定して利用しているネットワーク・アダプター(デフォルトで「ローカルエリア接続」と表示されている)と新たにインストールした無線LANアダプター(「ワイヤレスネットワーク接続」と表示される)を両方選択した状態で、右クリックし、「ブリッジ接続」を選択する。
3.直ぐにブリッジが完了し、「ブリッジネットワーク」(MAC Bridge Miniport)がこのネットワーク接続の画面に現れる。
※ このとき、「ネットワークブリッジを作成するには、インターネット接続の共有で使用されていないLAN接続または高速インターネット接続を少なくとも2つ選択する必要があります。」という警告が現れ、ブリッジができない場合には、「ローカルエリア接続」を右クリックし、「プロパティ」を開き、「共有」タブを開いて、「インターネット接続の共有」内の「ネットワークのほかのユーザーに、このコンピューターのインターネット接続をとおしての接続を許可する」のチェックを確認する。チェックされていれば、これが原因と考えられるので、このチェックを外す(図-2)。
図-2

※ また、機器によってはTCP/IP v6がネットワーク接続の妨げになる場合も少なくないので、ネットワーク内のすべてのアダプターの「プロパティ」内の「TCP/IP v6」のチェックは外しておく方が無難であろう。そうすると、TCP/IPv6が前提となっているホームグループは作成できないが、XPは参加できないので、特に必要とも思われない。各PCのワークグループ名を同一にしておけば、PC間のファイル等の共有は問題ない。
4.次に、「ネットワークと共有センター」画面に戻って、「新しい接続またはネットワークのセットアップ」を開き、「ワイヤレスアドホック(コンピューター相互)ネットワークを設定します」を選択し(図-3)、「次へ」、アドホックについての説明があり、さらに「次へ」と進む。図-4のような「アドホックネットワークのセットアップ」画面が現れる。
図-3

図-4

「ネットワーク名」には、公になっても構わない任意の名称を記入する。これがSSID(Service Set Identifier)となる。
「セキュリティの種類」、ここでは暗号化方式を選択する。当然ながら、暗号化方式は接続する相手側と同一にしておかなければならない。アドホック・モードでは通常WEP(Wired Equivalent Privacy)だけが適用可能である。敢えてWPA2-パーソナルで設定してみると、「このコンピューターに保存されたネットワークの設定は、ネットワーク要件に一致しません。」との表示が現れ、その設定は無効となる。認証方式や暗号化方式には詳しくないので、アドホックにWPAないしWPA2が適用されたない理由はよく知らないが、ハードウェア上の制約によるものらしい。
また、WEPには、64bit、128bitなどの種類があり、このWEPがどの種類のものなのか明記されていない。しかし、次の「セキュリティキー」いわゆるパスワードを設定しようとマウスポインタを欄上にもってくると、図-5のような注意書きが現れる。
図-5

これはつまり、WEP暗号化キーを、5文字又は10文字の16進数文字にすると64bitのWEPに設定し、13文字又は26文字の16進数文字にすると128bitのWEPに設定するという意味であろう。しかし、これは、WEPについて知識のない人にとっては、少し不親切であると言わざるをえない。説明書きを添えて然るべきであろう。
ともかく、128bitの方が安全性は高いであろうから、ASCII文字コードの半角英数字及び記号を使って13文字を入力。
「このネットワークを保存します」にチェックを入れると、文字通りこれらの設定が保存されるが、チェックを入れないと、1回限りの接続となる。
また、一度設定した「セキュリティキー」を変更したい場合は、「ネットワークと共有センター」から「ワイヤレスネットワークの管理」を開き、設定したネットワークを右クリックして「プロパティ」を選択し(図-6)、「セキュリティ」タブを開けば、変更することができる(図-7)。
図-6 図-7


※ なお、一般の無線LANの認証方式及び暗号化方式の選択に関して、独立行政法人の情報処理推進機構(IPA)のウェブサイトに分かり易い解説があるので(「一般家庭における無線LANのセキュリティに関する注意」)、暗号に詳しくない方は一読されたし。
三、接続するWi-Fi機器の設定
1.次に、上記のPCに接続させるノートPC側のワイヤレスネットワーク接続の設定をする。
ユーザ・インターフェイスが異なっても基本的に手順は同じである。
接続の設定画面を開くと、前述のアドホック・モード設定でSSIDを非表示にするという設定をしていない限り、現在受信されている接続可能なワイヤレスネットワークとして設定したSSIDが表示されるはずである。それを選択し、アドホック・モードを選び、暗号化方式の種類等を前述の設定と同じWEPとし、暗号化キーも同一のものを入力する。
例えば、XP標準のインターフェイスを使用する場合、「ネットワーク接続」を開き、「ワイヤレスネットワーク接続」を右クリックし、「利用できるワイヤレスネットワークの表示」を選択すると、「セキュリティの設定が有効なコンピュータ相互ネットワーク」として先のSSIDが表示される(図-8)。これをクリックし、「接続」をクリックすると、図-9のような接続設定画面が現れる。「ネットワーク認証」は「オープンシステム」にし(アドホックでは通常「共有キー」の認証方式はとれないようである)、「データの暗号化」は「WEP」を選び、「ネットワークキー」(「セキュリティキー」・暗号化キーのこと)を入力して「OK」をクリック。「接続」タブを開き、「自動接続」にチェックを入れておけば、PCが電波の届く範囲にある限り、自動で接続してくれる。
図-8

図-9

Windows 7では、通知領域の「ネットワーク」アイコンをクリックすると、同様に現在受信されているワイヤレスネットワークが表示され、SSIDを確認して、その項目をクリックし、必要に応じて「自動的に接続する」にチェックを入れ、「接続」をクリック(図-10)。「セキュリティキー」入力画面が現れるので、同じく定めたキーを入力し、「OK」をクリックする(図-11)。Windows 7の場合「セキュリティの種類」は自動で判別されるようである。
図-10 図-11


2.続いて、ノートPCのIPアドレスの設定である。
アドホック・モードの場合は、接続するアダプターによっては、ルータ等のDHCP(Dynamic Host Configuration Protocol)サービスからIPアドレスを自動的に取得できないこともある。私の環境でも、新しいアダプターを備えたWindows 7のノートPC(2012年購入)は自動取得できたが、古いアダプターを備えるXPのノートPC2台は共にIPアドレスを自動で取得することはできなかった。その場合は、以下の手順でIPアドレスを手動で設定しなければならない。
XPの場合、ご存知のように「スタート」メニュー⇒「コントロールパネル」⇒「ネットワーク接続」⇒「ワイヤレスネットワーク接続」を右クリック、「プロパティ」を開く。「インターネットプロトコル(TCP/IP)」を選択し(XPではTCP/IP v4をこう表記する)、「プロパティ」をクリックすると(図-12)、TCP/IP v4のIPアドレスに関する設定画面が開く。「次のIPアドレスを使う」を選び、ブリッジ接続を設定したPC側のIPアドレスと同じネットワーク番号と、他の機器と重なるおそれのない任意のホスト番号を「IPアドレス」の欄に入力する。例えば、図-13のように。
図-12 図-13


因みに、XPでは「ネットワーク接続」を「スタート」メニューに表示させたり、そのショートカットを好きな所に置くことができたが、Win 7ではそれができなくなってしまった。
また、「ネットワーク番号」、「ホスト番号」と書いたが、詳しく言えば、以下の通りである。
前述の「ネットワークブリッジ」の右クリックで「状態」を開き、「詳細」をクリックすると(図-14)、「IPv4アドレス」「IPv4サブネットマスク」「IPv4デフォルトゲートウェイ」「IPv4DNSサーバー」等の数値が確認できる(図-15)。
図-14 図-15


その「IPv4アドレス」が当の「ネットワークブリッジ」のIPアドレスであり、図-15のように「192.168.0.7」というプライベートIPアドレスの場合、デフォルト(即ち、サブネットマスクが255.255.255.0)ならば、ドットで区切られた値のうち、先頭から3番目までをネットワーク番号といい、これらが同じでないと同一のネットワークと判断されない。4番目の値がホスト番号と呼ばれ、ネットワーク内の個々の機器に自由に割り当てられるものである。これを自動で割り当てる機能をご存知DHCPといい、一般家庭では通常ルータなどがその機能を果たしている。
前述したように、アドホックではDHCPによるIPアドレスの自動割り当てを受けることができない場合があるため、手動でIPアドレスを割り当てる必要があるということなのである。
※ なお、IPアドレスについては、文字通りこちらの記事「IPv4アドレスについて」を御覧下さい。
従って、例えば、ネットワークブリッジのIPv4アドレスが図-15のように「192.168.0.7」だとして、DHCPによってアドレスが割り当てられる可能性のある機器が10台前後あるという場合、アドレスが重なるおそれがないようにXPのノートPCには図-13のように「192.168.0.20」と、IPアドレスを入力するのである。
通常、DHCP機能を担わせているルータ等においてDHCPの割り当て範囲を設定しているでしょうから、その範囲外の(もちろん同一ネットワーク内の)IPアドレスを入力すれば問題はない。
さらに、「サブネットマスク」、「デフォルトゲートウェイ」、「DNSサーバー」の値は、「ネットワークブリッジ」と同じ値を入力する。
以上で、無線ルータやアクセスポイントの電波が届かない僻地のPCルームにあるノートPCであっても、デスクトップPCを介してインターネットにアクセスすることができるようになる。
さて、お次は、SoftAPについてであるが、これは「Wi-FiアダプターによるアドホックとSoftAP(2)」としてまとめることにする。