MN128-SOHO IB3からNVR500へ
一、
2003年から使い続けて10年になんなんとするルータ、NTT-MEのMN128-SOHO IB3もついにお役御免となった。この記事を書くに当たって、久方ぶりにNTT-MEのサイトを覗いてみると、奇しくも2013年6月30日をもってそのサポートは終了していた。このルータの耐用年数がまさに尽きていたということになる。
ISDN接続も可能で無線LAN機能を備えたブロードバンド・ルータをと探し求めて、発売されたばかりのこの機に巡り会った。SOHOという名が示すように一般用としては多機能過ぎて高価であったが、先々の使用にも耐えうるだろうと考え、意を決して購った。果たせるかな、その後10年近くも我がPCライフを支えてくれることとなった。
しかし、Windows XP機だけを使用している間は、何ら問題なく安定してインターネットに接続できたネットワーク環境にWindows 7機を加えてからおかしくなってしまった。LANの接続状態を示すルータのモニターランプが不意に高速点滅をし始めると、ルータのDHCP機能が働くなり、すべてのPCは適切なIPアドレスを取得することができず、復旧させるのも容易ではなかった(この対処方法については、「ネットワークの切断に悩まされて~XPからようやくWindows 7 x64へ(6)」を御覧下さい)。2005年にこのルータのファームウェアVer. 1.41が公開されて以後、更新は為されていなかったのであるから、起こるべくして起こった不具合といえるかもしれない。
とはいえ、その役目は十二分に果たしてきたことに間違いなく、MN128-SOHO IB3の労を讃え、ここにその勇姿を上記サイトの「製品画像」から転載しておきたいと思う。

二、
MN128-SOHO-IB3に代わって新たなルータに選んだのは、YAMAHAのNVR500である。
NVR500も業務用としては安価なSOHO向けのルータという位置付けの製品であろうが、一般用としてはやはり少し高価である。機能は、一般用としては豊富に過ぎるといえる。もっとも、VPN(Virtual Private Network)を利用する向きには、PPTPやIPIPは使えるが、IPsecに対応していないことが玉にきずとされている。
とまれ、さすがに定評あるルータだけあって、ネットワークは安定しており、インターネット接続もスムーズである。
NVR500では、種々の込み入った設定をする場合には、telnet等によるコマンドを使って行うことになっている。しかし、基本的な設定については、Webブラウザ上の「かんたん設定ページ」というGUIを使って行えるようになっている。
今のところ、我が家では、ほとんど込み入った設定をせずにこのルータを使用しているものの、二点だけ初期値を変更するためにコマンドを使っている。
一つは、インターネットへの自動接続は好まないので、手動接続に変更している。
そのコマンドは:
pp select 1
pppoe auto connect off
もう一つは、DHCPのリース期間を変更するものである。初期値は、72時間となっているリース期間を24時間に変更している。
コマンドは:
dhcp scope 1 192.168.xxx.xxx-192.168.xxx.xxx/24 expire 24:00
このように簡単な設定を行うにもコマンドが必要になるので、ネットワークの知識に乏しい我々素人にとっては、少々扱いにくいルータであるかもしれない。詳細な設定を行うには、Webで調べながらネットワークに関する書籍やNVR500の「コマンドリファレンス」と首っ引きでコマンドを実行しなければならないが、NVR500の素晴らしい機能を享受しえるのであるから、それもまたお勉強だと覚悟を決めておくほかなかろう。
【追記】:ようやく、我が家にも光が届いた。
ISDNからADSLに換えたとき、その伝送率の高さに驚嘆したものである。下り平均7KB/sから250KB/sになったのである。あれから十数年が経ち、電話回線の状況に左右されるADSLの伝送率は、ここのところ170KB/sから220KB/sを推移し、280KB/sを超えることもあった時期からすれば、歯がゆさばかりがつのっていた。しかも、様々なところで光回線の速さを日々実感させられれば、なおさらである。
さて、光回線の具合はというと、もちろん光回線といえどもインターネット上にある種々の環境の影響を受けざるをえないが、これまでに下り瞬間最大伝送率19MB/s台を記録し、ADSLの約90倍、ISDNの約2700倍の伝送率に胸のすく思いである。
時として下りが数百KB/sと、光がこれではイカンでしょうという場合もあるが、日常的にはおおむね1MB/sから十数MB/sあたりとADSLよりも変動の幅が大きいものの、だからといって不満を感ずることは、今のところない。
NVR500に換えた甲斐もあろうというものである。
ところで、NTTフレッツ光ネクストでは、ひかり電話を利用する場合、回線終端装置(ONU)一体型の「ひかり電話ルータ」が貸与される。我が家の機種は、PR-400MIである。ひかり電話を使う以上、この機を介さざるをえないので、NVR500を使用するには一工夫が要る。
ネットワークやインターネットに関するNVR500の設定を可能な限りそのまま使おうとするならば、PR-400MIのPPPoEブリッジ機能を使い、DHCPv4サーバ機能を無効にするのがよいのか、あるいはLAN側静的ルーティングを設定するのがよいのであろうか。NVR500の機能を十全に発揮させたいので、PR-400MIのPPPoEセッションを設定せず、PPPoEブリッジ機能を用いることにした。
しかし、これだと直接NVR500に対してそのNATによりグローバルIPアドレスが付与されるため、NVR500経由のPCからPR-400MIの設定画面に入れないことになる。PM-400MIの設定を変更するには、いちいちそれにLANケーブルを差し替えなければならず、しかもその場合、PM-400MIのDHCPサーバ機能は無効にしているので、接続したPCにはリンクローカル・アドレス(169.254.で始まるアドレス)が付与されるため、手動でその機と同じネットワークに属する任意のアドレスを入力しなければならない。少々面倒ではあるが、いったん設定すれば、そうたびたび変更する訳ではないので、これでよしとすることにする。 (2014.6.29)
【追記2】:PM-400MIの設定画面に入る方法
PM-400MIとNVR500を上記と同様の構成で使用している方から、PM-400MIの設定画面に入る方法がよく分からないというコメントが寄せられたので、私の用いている方法を詳述しておくことにする。ほかにテクニカルでスマートな方法があるのかもしれないが、一般家庭では頻繁に設定を変更することはないであろうから、このような原始的ともいえる方法であってもさして不都合はなかろう。以下、OSはWindows7を例にして説明しているので、適宜読み替えて下さい。
PM-400MIとNVR500をつないでいるLANケーブルを抜き、PCを直接PM-400MIにつなぎ換える。
LANケーブルを接続後、PCに電源の入れると、PM-400MIのDHCPサーバ機能は無効にしてあるため、PCのIPv4アドレスは「169.254.xxx.xxx.」というリンク・ローカル・アドレスになっているはずである。「ネットワークと共有センター」を開き、「アダプターの設定の変更」を選び、ネットワークを構成している「ローカルエリア接続」を右クリックし、「状態」⇒「詳細」と辿ると見ることができる。
このIPv4アドレスを、PM-400MIのIPv4アドレスと同じネットワーク内のアドレスに変更する。PM-400MIのLAN側IPアドレスを変えていなければ、初期値は「192.168.1.1」、ネットマスクの初期値は「255.255.255.0」である。初期値のままであるならば、PCのIPv4アドレスを「192.168.1.xxx」と、他のPC等のIPv4アドレスと重複しない2~254までの任意の数値を「xxx」の個所に入れたものに変更すればよい。
上記「ローカルエリア接続」の右クリックの「プロパティ」をクリックし、「インターネットプロトコルバージョン4(TCP/IPv4)」を選択し、「プロパティ」を開き、「全般」タブ内の「IPアドレスを自動的に取得する」を「次のIPアドレスを使う」に切り替え、「IPアドレス」の欄に上述したように「192.168.1.xxx」と入力し、「サブネットマスク」の欄に「255.255.255.0」と入力し、「OK」をクリックする。
これで、ブラウザからPM-400MIの設定画面に入ることができる。設定が終われば、「IPアドレスを自動的に取得する」に戻しておくことを忘れないように。
なお、IPv4アドレスについてよく分からないという方は、拙文「IPv4アドレスについて」を御覧下さい。 (2015.1.6)
2003年から使い続けて10年になんなんとするルータ、NTT-MEのMN128-SOHO IB3もついにお役御免となった。この記事を書くに当たって、久方ぶりにNTT-MEのサイトを覗いてみると、奇しくも2013年6月30日をもってそのサポートは終了していた。このルータの耐用年数がまさに尽きていたということになる。
ISDN接続も可能で無線LAN機能を備えたブロードバンド・ルータをと探し求めて、発売されたばかりのこの機に巡り会った。SOHOという名が示すように一般用としては多機能過ぎて高価であったが、先々の使用にも耐えうるだろうと考え、意を決して購った。果たせるかな、その後10年近くも我がPCライフを支えてくれることとなった。
しかし、Windows XP機だけを使用している間は、何ら問題なく安定してインターネットに接続できたネットワーク環境にWindows 7機を加えてからおかしくなってしまった。LANの接続状態を示すルータのモニターランプが不意に高速点滅をし始めると、ルータのDHCP機能が働くなり、すべてのPCは適切なIPアドレスを取得することができず、復旧させるのも容易ではなかった(この対処方法については、「ネットワークの切断に悩まされて~XPからようやくWindows 7 x64へ(6)」を御覧下さい)。2005年にこのルータのファームウェアVer. 1.41が公開されて以後、更新は為されていなかったのであるから、起こるべくして起こった不具合といえるかもしれない。
とはいえ、その役目は十二分に果たしてきたことに間違いなく、MN128-SOHO IB3の労を讃え、ここにその勇姿を上記サイトの「製品画像」から転載しておきたいと思う。

二、
MN128-SOHO-IB3に代わって新たなルータに選んだのは、YAMAHAのNVR500である。
NVR500も業務用としては安価なSOHO向けのルータという位置付けの製品であろうが、一般用としてはやはり少し高価である。機能は、一般用としては豊富に過ぎるといえる。もっとも、VPN(Virtual Private Network)を利用する向きには、PPTPやIPIPは使えるが、IPsecに対応していないことが玉にきずとされている。
とまれ、さすがに定評あるルータだけあって、ネットワークは安定しており、インターネット接続もスムーズである。
NVR500では、種々の込み入った設定をする場合には、telnet等によるコマンドを使って行うことになっている。しかし、基本的な設定については、Webブラウザ上の「かんたん設定ページ」というGUIを使って行えるようになっている。
今のところ、我が家では、ほとんど込み入った設定をせずにこのルータを使用しているものの、二点だけ初期値を変更するためにコマンドを使っている。
一つは、インターネットへの自動接続は好まないので、手動接続に変更している。
そのコマンドは:
pp select 1
pppoe auto connect off
もう一つは、DHCPのリース期間を変更するものである。初期値は、72時間となっているリース期間を24時間に変更している。
コマンドは:
dhcp scope 1 192.168.xxx.xxx-192.168.xxx.xxx/24 expire 24:00
このように簡単な設定を行うにもコマンドが必要になるので、ネットワークの知識に乏しい我々素人にとっては、少々扱いにくいルータであるかもしれない。詳細な設定を行うには、Webで調べながらネットワークに関する書籍やNVR500の「コマンドリファレンス」と首っ引きでコマンドを実行しなければならないが、NVR500の素晴らしい機能を享受しえるのであるから、それもまたお勉強だと覚悟を決めておくほかなかろう。
【追記】:ようやく、我が家にも光が届いた。
ISDNからADSLに換えたとき、その伝送率の高さに驚嘆したものである。下り平均7KB/sから250KB/sになったのである。あれから十数年が経ち、電話回線の状況に左右されるADSLの伝送率は、ここのところ170KB/sから220KB/sを推移し、280KB/sを超えることもあった時期からすれば、歯がゆさばかりがつのっていた。しかも、様々なところで光回線の速さを日々実感させられれば、なおさらである。
さて、光回線の具合はというと、もちろん光回線といえどもインターネット上にある種々の環境の影響を受けざるをえないが、これまでに下り瞬間最大伝送率19MB/s台を記録し、ADSLの約90倍、ISDNの約2700倍の伝送率に胸のすく思いである。
時として下りが数百KB/sと、光がこれではイカンでしょうという場合もあるが、日常的にはおおむね1MB/sから十数MB/sあたりとADSLよりも変動の幅が大きいものの、だからといって不満を感ずることは、今のところない。
NVR500に換えた甲斐もあろうというものである。
ところで、NTTフレッツ光ネクストでは、ひかり電話を利用する場合、回線終端装置(ONU)一体型の「ひかり電話ルータ」が貸与される。我が家の機種は、PR-400MIである。ひかり電話を使う以上、この機を介さざるをえないので、NVR500を使用するには一工夫が要る。
ネットワークやインターネットに関するNVR500の設定を可能な限りそのまま使おうとするならば、PR-400MIのPPPoEブリッジ機能を使い、DHCPv4サーバ機能を無効にするのがよいのか、あるいはLAN側静的ルーティングを設定するのがよいのであろうか。NVR500の機能を十全に発揮させたいので、PR-400MIのPPPoEセッションを設定せず、PPPoEブリッジ機能を用いることにした。
しかし、これだと直接NVR500に対してそのNATによりグローバルIPアドレスが付与されるため、NVR500経由のPCからPR-400MIの設定画面に入れないことになる。PM-400MIの設定を変更するには、いちいちそれにLANケーブルを差し替えなければならず、しかもその場合、PM-400MIのDHCPサーバ機能は無効にしているので、接続したPCにはリンクローカル・アドレス(169.254.で始まるアドレス)が付与されるため、手動でその機と同じネットワークに属する任意のアドレスを入力しなければならない。少々面倒ではあるが、いったん設定すれば、そうたびたび変更する訳ではないので、これでよしとすることにする。 (2014.6.29)
【追記2】:PM-400MIの設定画面に入る方法
PM-400MIとNVR500を上記と同様の構成で使用している方から、PM-400MIの設定画面に入る方法がよく分からないというコメントが寄せられたので、私の用いている方法を詳述しておくことにする。ほかにテクニカルでスマートな方法があるのかもしれないが、一般家庭では頻繁に設定を変更することはないであろうから、このような原始的ともいえる方法であってもさして不都合はなかろう。以下、OSはWindows7を例にして説明しているので、適宜読み替えて下さい。
PM-400MIとNVR500をつないでいるLANケーブルを抜き、PCを直接PM-400MIにつなぎ換える。
LANケーブルを接続後、PCに電源の入れると、PM-400MIのDHCPサーバ機能は無効にしてあるため、PCのIPv4アドレスは「169.254.xxx.xxx.」というリンク・ローカル・アドレスになっているはずである。「ネットワークと共有センター」を開き、「アダプターの設定の変更」を選び、ネットワークを構成している「ローカルエリア接続」を右クリックし、「状態」⇒「詳細」と辿ると見ることができる。
このIPv4アドレスを、PM-400MIのIPv4アドレスと同じネットワーク内のアドレスに変更する。PM-400MIのLAN側IPアドレスを変えていなければ、初期値は「192.168.1.1」、ネットマスクの初期値は「255.255.255.0」である。初期値のままであるならば、PCのIPv4アドレスを「192.168.1.xxx」と、他のPC等のIPv4アドレスと重複しない2~254までの任意の数値を「xxx」の個所に入れたものに変更すればよい。
上記「ローカルエリア接続」の右クリックの「プロパティ」をクリックし、「インターネットプロトコルバージョン4(TCP/IPv4)」を選択し、「プロパティ」を開き、「全般」タブ内の「IPアドレスを自動的に取得する」を「次のIPアドレスを使う」に切り替え、「IPアドレス」の欄に上述したように「192.168.1.xxx」と入力し、「サブネットマスク」の欄に「255.255.255.0」と入力し、「OK」をクリックする。
これで、ブラウザからPM-400MIの設定画面に入ることができる。設定が終われば、「IPアドレスを自動的に取得する」に戻しておくことを忘れないように。
なお、IPv4アドレスについてよく分からないという方は、拙文「IPv4アドレスについて」を御覧下さい。 (2015.1.6)