Parted Magicについて

一、
 Parted Magicは、パーティションの操作、クローンの作成、データの救出などの機能を持つLinuxディストリビューションの一つである。Parted Magicは、本来その名が示すようにパーティショニングを主な目的としたソフトであったが、CD・DVDないしUSBドライブから起動することができ、HDD・SSDにインストールされたOSに依存しないことから、OSが起動しない場合のデータ救出やSecure Eraseの制約のない実行などにも重宝されるようになった。それを反映してか、当初Parted Magicのデスクトップにあった"a free partitioning tool"という文字は、後に"partition | clone | rescue"に変更されている。いずれにしろ、有用なソフトであり、これをCD-R等に焼いて持っておくと便利である。

 Parted Magicの公式ウェブサイトはhttp://partedmagic.comにある。現在、このソフトは有料となっているが、実はParted Magic 2013_08_10までのバージョンは、GPL(GNU一般公衆ライセンス)に基づくフリーのソフトであった。私は既にParted Magic 2013_08_01バージョンをあるサイトからダウンロードして使っていた。

 ところが、たまたまParted Magicについて調べていたところ、ポーランドのmrsebeという人の"techno kanciapa"というブログに行き着いた。その中の"Parted Magic linux 2013_08_10 and 2013_09_07 - the last free versions"という記事を読んで驚いた。そこには、かつてParted Magicのサイトに掲載されていた警告文が引用されていた。

 曰く、「警告! インターネット上に、pmagic_2013_08_01.isoと称されるフリーダウンロード用のファイルを提供するサイトがわずかながらあります。このバージョンは、Linuxカーネル内に非常に破壊的なUSB破損バグを伴ったまま公開されています。私どもは、損害を最小限に抑えるためこのファイルを公式のミラーサイトから削除し、直ちにバージョン2013_08_10を公開してそれと置き換えることにしました。その2013_08_01バージョンは、ユーザにUSBのインターフェイスを通してATAディスクを消去することを可能にする古いSecure EraseのGUIの中にもバグを含んでいます。それは、場合によっては、高価なUSB機器を損傷してしまうこともあります。また、その古いGUIはSecure EraseのパスワードをデフォルトでNULLに設定してしまうこともあり、パスワードを入力することができなくなるため、LenovoのBIOS上でディスクを使用することができなくなります。バージョン2013_09_26はこのような欠陥を含んでおらず、まったく安全に使用することができます。この非公式でサポート対象外のフリーのpmagic_2013_08_01.isoを使用することによって被った不便と損害については申し訳なく思います。以上、警告させて頂いたものと致します。」

 2013_08_01に存在する重大なバグを回避するには、2013_08_10以降のバージョンを使うべきだというのである。安全予防のため、USBデバイスではSecure EraseのGUIを使わない方がよいとのことである。

 幸い、私は外付けのドライブは主にeSATA接続で使用しているので、大事には至っていない。とはいえ、USB接続で使う場合もあるので、早速、安全なバージョンを手に入れなければならない。2013_09_26以降は有料となっているので、無料版となれば、2013_08_10を捜すしかない。しかし、これをダウンロードできるサイトは最早ほとんどなくなっている。そんな中、このmrsebe氏が、2013_08_10のPXE versionから再構成した
"pmagic_2013_08_10_reconstructed.iso"を公開してくれているのである。GPLに基づいたものであり、問題はない。

二、
 ところが、である。このpmagic_2013_08_10_reconstructed.isoを焼いたCDから、"Default settings 64 (Runs from RAM)"を起動することができない。

 Parted Magicは、メモリが1GB以上あればメモリに全て読み込んでそこから起動することができ、起動時にPCが32bit機であれば、"Default settings 32 (Runs from RAM)"を選び、64bit機であれば、"Default settings 64 (Runs from RAM)"を選ぶようになっているのである(図-1)。もちろん、Parted MagicはHDD等からデータを救出したり、Secure Eraseを行ったりするものであるから、いずれで起動してもさして違いはないようである。とはいうものの、気になったので、直接本人にブログのコメントで確認してみた。

  図-1(Parted Magic公式サイトより)
  PMagic2013-08-10-BootScreen

 すると、CDからは、"Default settings 64 (Runs from RAM)"が起動できないことを確認できたと回答があり、2日後にそれを可能にした修正版として、"pmagic_2013_08_10_reconstructed_v2.iso"を公開してくれた。mrsebe氏には、直接メールでも感謝しておいたが、ここで改めて感謝の意を表しておきたいと思う。

三、
 Parted Magicの使用方法は、いたって簡単である。彼のブログから"pmagic_2013_08_10_reconstructed_v2.iso"をダウンロードし、それをCD-R等に焼き、対象となるPCの電源を入れると同時にそのCDを挿入。BIOSの場合、予め光学ドライブのブート順位をOSの入ったHDDよりも上げておけばよいが、UEFIでは、電源投入直後にブートメニューを表示させて光学ドライブを選択する必要がある。CDが読み込まれ、図-1のメニューが表示される。上述したように"Default settings 32 (Runs from RAM)"を選択しておいて問題はないが、64bit対応機であれば、もちろん"Default settings 64 (Runs from RAM)"を選んでもよい。しばらくするとメモリへの読み込みが完了し、CDが排出されて、図-2のようなデスクトップが現れる。と同時に、タイムゾーンの設定画面も表示される。どこに設定しても構わないであろうが、一応"Asia/Tokyo"にしておく。

 また、図-1のメニューで"Language"から"Japanese 32"又は"Japanese 64"を選ぶこともできるが、ところどころが日本語になっているだけで、肝心なところは訳されておらず、あまり助けにはならないかもしれない。翻訳ソフトを使ったのであろうか、"Quit"が「やめる」、"Help"が「役立つ」、"Parted Magic Disk Erase Menu"が「Partedのマジックディスク消しゴムメニュー」、"an external, blockwiping software package"が「外部のブロック拭くソフトウェアのパッケージ」など、なかなか味わいのある訳にお目にかかれる楽しさはある。緊急時のデータ救出のためにFile ManagerやSecure Eraseを行うためにErase Diskを使用する程度であれば、日本語表記を使う必要はないであろう。Parted Magicに使われている英語は概ね中学程度であり、分からない単語は調べれば済むことである。

  図-2
  PMagic2013-08-10-Desktop

 なお、Parted MagicはUSBメモリなどから起動することもできる。しかしながら、頻繁に使うことはないにしても万が一OSが不調になったときに利用できないのでは意味がないから、予めParted Magicはいずれかに入れておかざるをえないが、そのために、一枚数十円のCD-Rではなく、それと比べれば高価なしかも読み書きの自由なUSBメモリを使うのはいかにも不経済である。確かにUSBメモリの容量は大きくなってはいるものの、滅多に使わないParted Magicに400MB前後を占有させたままにしておくことは、あたらUSBメモリを無駄にするようなものといえなくもない。
 USBメモリを使う利点は、起動時間の短縮以外にほとんど見出せないが、簡易かつ軽量の可搬用PCには光学ドライブを備えていないものがあり、そのためにこれが必要となるのであろう。

 USBメモリにParted Magicのisoファイルを展開し、それを起動可能なドライブにする方法は、Parted Magic公式サイト内の"Creating the LiveUSB"に説明がある。それによると、"UNetbootin - Homepage and Downloads"というサイトに紹介されている"UNetbootin"というプログラムを使う。そこからWindows、Linux、MacいずれかのOSに対応する"UNetbootin"をダウンロードする。その保存したファイルは、実行ファイルそのものであるから、そのまま実行する。Windows7まで対応とされるが、互換性のエラーが出ることがあるので、「管理者として実行」した方がよい。
 図-3の画面が現れる。「ディスクイメージ」を選択し、右端のボタンをクリックして、isoファイルを選び、ドライブを確認して「OK」。途中、上書を尋ねられたときは、「Yes to All」で大丈夫とのこと。USBメモリ内に他のファイルが存在していても問題はない。

  図-3
  UNetbootin-settings

 前述したようにこのParted Magicの有用性の一つは、PCに何らかのトラブルが発生し、OSが起動しない場合に、データを救出することができる点にある。特に、何らかの不具合によりWindowsがHDD等を認識しなくなったような場合であっても、LinuxであるParted Magicからであれば、その中を覗くことができる場合もあり、ファイルを救い出せる可能性がある。
 デスクトップ左上の"File Manager"をダブルクリックし、目的のファイルを見つけることができれば、それを外付けのHDD等にコピー・ペーストすることによってデータを救出できることも多い。

 また、Secure Eraseを実行するソフトについても、これまでこのブログでHDDeraseやTxBENCHを取り上げてきたが(「Secure Eraseとは」等)、前者は操作が少しややこしく、後者はOSのインストールされたSSD等には実行できないなど種々の不便や制約があった。しかし、Parted Magicでは、ほとんど制約なく実に簡便に、どのSSDやHDDに対してもSecure Eraseを実行することが可能である。

 デスクトップの"Erase Disk"をダブルクリックすると、他のデータ抹消ソフトと並んでSecure Eraseが選択画面に現れる(図-4)。なお、"External"と表記されているのは、Secure EraseがSSD・HDDの内部(Internal)に組み込まれているコマンドであるため、それ以外の一般の抹消ソフトは当然SSD・HDDの外部ということになるからである。

  図-4
  PMagic2013-08-10-Eraser1

 最下部の"Internal Secure Erase command writes zeros to entire data area"をクリックすると、全てのドライブが表示されるので、例えば図-5のように対象とするドライブにチェックを入れ、「OK」をクリックする。この時、選択したドライブが"mount"されているとSecure Eraseが実行できないので、"unmount"するように指示が出ることがある。File Managerを開いて該当するドライブを右クリックし、"unmount"してから改めて実行する。

  図-5
  PMagic2013-08-10-Eraser2

 続いて、パスワードの入力画面が現れる(図-6)。大抵は"NULL"のまま「OK」で構わないようだが、上記の警告にもあるようにLenovo製のPCでは不都合が生ずるらしい。その場合は任意のパスワードを入力するようだが、当ブログではLenovo製のPCをお勧めしていないので(「NECのLaVieがLenovoのLaVieになる日」参照)、解説は「ATA Secure Erase」に譲る。触らぬ神に祟りなし。
 なお、選択されたドライブが"frozen"となっているため、Secure Eraseが実行できないという警告が出ることがある。その場合は、"Sleep"をクリックすると、一旦スリープモードになった後、自動的に再起動してfrozen状態が解除される。しかし、マザーボードによっては効を奏しないこともあり、そのときは別のPCにつなぎ替えて試すとうまく行くこともあるようである。特に、Windows XPでは"frozen"とならないようなので、このためにもXP機は持っておくべきである。

  図-6
  PMagic2013-08-10-Eraser3

 さらに、ドライブが"Enhanced Secure Erase"をサポートしているならば、図-7の画面が表示される。通常は"Enhanced"で大丈夫だと思われるが、そこには「不安であれば、Noを選んで替わりにより一般的で互換性のあるスタンダードなSecure Erase commandをお使い下さい」とある。文字通りどちらを選べばよいか確信が持てない場合、あるいはもっぱらSSDの速度回復の目的でSecure Eraseを使う場合は、"Enhanced"を避けた方が無難かもしれない。

  図-7
  PMagic2013-08-10-Eraser4

 そして、思わぬ問題によってドライブが駄目になることもあるので、Secure Eraseは自己の責任で行うようにと念を押す画面が現れ(図-8)、「Yes」でようやくSecure Eraseが開始されることになる。

  図-8
  PMagic2013-08-10-Eraser5

※注意】:
 IntelのRAIDドライバを用いてRAID構成したHDDやSSDにOSをインストールしているPCでそのまま、このSecure Eraseを実行すると、例え外付けのHDDに対して行ったとしても、RAID構成内のディスクが"Offline Member"となってしまい、OSが起動しなくなる場合があるので注意を要する。Parted Magicを実行する前には、必ずSATAをRAIDからAHCIモードに切り替えておくべきである。
 万が一、"Offline Member"になった場合は、RAID BIOSに入り、"MAIN MENU"の"3. Reset Disks to Non-RAID"を選び、"Offline Member"となっているディスクをすべてスペースキーで選択し、実行。その後、改めて同一構成のRAIDを"1. Create RAID Volume"から作成し直し、そこへバックアップから復元する。RAID全体をバックアップしていなければ、OSをクリーンインストールするしかない。くれぐれもバックアップは怠りなく。

 以上、パーティション操作はもちろん、クローン作成などの機能も備えているParted Magicは、他にバックアップツールやパーティションツールの組み込まれているWindowsPEなどを持っていない方には重宝であろう。Parted MagicのCDは、常備しておいて無駄にはならない一枚といえる。

 ところで、余談だが、mrsebe氏のブログの冒頭にあるポーランドのおそらく彼が関係するであろう町の風景を映した何の変哲もない写真は、悲劇の歴史を背負うポーランドの言い知れぬ悲しさがそこはかとなくにじんでいるようで、不思議である。

【追記1】:mrsebe氏はこのブログを機械英訳で読み、気にしたようで、冒頭の写真がブログを開くたびにポーランドの様々な明るいものに切り替わるようになった。あの写真もまだ含まれているが、私は決して嫌いな写真ではない。
All of your photos are beautiful and attractive. I don't dislike that photo by any means. Of course we know Poland is nontragic, stable and peaceful at present. (2014.11.19)

【追記2】: mrsebe氏がブログの末尾に下記の一文を書き加えて、私のブログへのリンクを貼ってくれている。そのリンクから私のブログへ訪れてくれる海外の人もいるが、日本語は読めないでしょうから申し訳ない思いである。時間が許せば、英語にする意味のある個所には英語訳を添えるようにしたいと思うが…。(2015.2.12)

"Based on Phooen's feedback I've fixed the broken 64-bit boot option and the new image is: pmagic_2013_08_10_reconstructed_v2.iso."

※ 関連記事
 「Secure Eraseとは
 『「初期化」について

tag : Parted Magic Secure Erase UNetbootin

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Author:そんぷうし ふうえん

忙中閑は、こっそりと見出す。
カミさんと子どもたちが寝静まるのを待って、夜な夜なPCの前に端座し、その不可思議なる箱の内奥にそっと手を入れては、悦に入る日々なのであります。
時としてその手はPC以外の内奥にも。


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