MiniTool Partition Wizard
一、ディスク/パーティション管理ソフトについて |
一、 ディスク/パーティション管理ソフトについて
コンピュータを構成する主要な装置・機能は、演算装置、制御装置、記憶装置、入力装置、出力装置の5つに分類され、コンピュータの五大装置(五大機能)と呼ばれる。その中の記憶装置は、さらに主記憶装置(Primary Memory/Storage)と補助記憶装置(Secondary/Auxiliary Memory/Storage)に分けられる。メモリヒエラルキー(Memory Hierarchy)においては、中間に位置するメインメモリを担うRandom Access Memory (RAM)とその上に位置するCPUのキャッシュが主記憶装置とされ、下部に位置するHDDやSSDなどは補助記憶装置とされる。
PCにおいてHDDやSSDなどは、分類上補助的とか二次的と呼ばれる記憶装置ではあるものの、OSやアプリケーションなどのソフトウェアのみならず、PCのユーザが作成し、収集したデータを保存しておく装置として極めて重要な役割を担っている。それらのデータはストレージにおいて通常、1つ以上のパーティションという区画の中にファイルとして保存される。当然、パーティションを管理するツールもまた、PCにおいては重要視されることになる。
そのパーティションの作成を始め、サイズの変更や削除など様々な管理上の操作は、Windowsであれば、DiskPartコマンドや「ディスクの管理」を用い、Linuxであれば、GPartedを用いて行うことができる。確かに、基本的な操作は、これらで済ませることができるが、さらに込み入った複雑な作業(例えば、MBRディスクをGPTディスクに変換、パーティションの復元など)を行うには、別途ディスクやパーティションの管理を行う専用のソフトウェアが必要となる。
パーティション管理ソフトをwebで探せば、有料・無料を問わず、種々のソフトが見つかるが、私はMiniTool Partition Wizardを使っている。このMiniTool Partition Wizardは、機能が充実しており、「ディスクの管理」では行えないような操作も簡便に行うことができる。
このソフトは、他人にも勧めることも多いので、ここにその主な機能を概観しておくことにする。
二、MiniTool Partition Wizard
■1. MiniTool Partition Wizardとは
MiniTool Partition Wizardは、ディスクを管理し、その名が示すとおりパーティションに関する操作を行うことを中心としたソフトである。そのソフトは、カナダのバンクーバーで開発されており、安心して使用することができると考えられる。何処で作られているソフトであるかは、そのソフトが信頼できるかどうかを判断する指標の一つであることは間違いない。このソフトをインターネットに接続した状態で使用しても、PC内の情報が海外へ転送されるなどといったことはない。
PCを使用する上で、ディスク及びパーティションの管理に必要とされるほとんどの操作は、このソフトで行うことが可能である。このソフトを使えば、それらの操作はクリック一つで簡単に行うことができるのである。MiniTool Partition Wizard プロ版は、有料であるが、デモ版として試用することもできる。また、その機能の一部が制限されている無料版もあり、基本的な操作であれば、これで困ることはほぼないであろう。
公式サイトには、プロ版、無料版等の機能を比較した一覧があり、これを見ていずれを使うべきかを判断すればよいであろう。無料版であっても、必要となればいつでもプロ版にアップグレードできるので心配はない。
対応OSは、Windows XP以降、対応ファイルシステムは、FAT12/16/32 exFAT NTFS Ext2/3/4 となっている。
■2. 機能と操作
ディスク及びパーティションの管理に必要な機能はほとんど網羅されており、操作画面にある「マニュアル」をクリックするとブラウザに機能一覧が表示され、各項目をクリックすればその操作方法を知ることができる。操作をしているときに現れるウィンドウの下部にあるチュートリアルをクリックすれば、その操作のマニュアルが直接表示される。これはオンラインマニュアルであるから、インターネットに接続した状態で使用する必要がある。
図-1がディスクとパーティションを管理するメイン画面である。メニューバー、ツールバー、アクションパネル、ディスク・パーティション・ボリューム リスト、ディスクマップ、凡例バーの6つのペイン(pane:枠)から構成されている。操作の対象とするディスク又はパーティションをクリックすると、ディスク・パーティション・ボリューム リスト(以下リストと略す)のディスク又はパーティションは灰色に、ディスクマップ(以下マップと略す)のそれは黄色になり、誤操作を防ぐように区別しやすくなっている。リスト、マップどちらをクリックしても同じ操作ができる。
各ディスク又はパーティションをクリックすると、アクションパネル(以下パネルと略す)にはそれに対して実行可能な操作だけが自動的に表示される。
図-1

使用される言語は、英語・フランス語・ドイツ語・イタリア語・日本語・韓国語・スペイン語の7か国語で、メニューバーの「ビュー」の「言語」で切り替えることができる。カナダで開発されているソフトであり、当然、基本の言語は、英語・フランス語であるから、日本語が所々不自然であるのは止むを得ない。とはいえ、当たり前だが、しっかりとローカライズされているので、一部が英語のままであるといったことはない。
●① ディスクの操作
ディスクに対して実行することができる操作は、対象とするディスクを右クリックすることによっても表示させることができる。図-2は、GPTディスクを右クリックをしたところ、図-3は、MBRディスクを右クリックしたところである。操作は、必ず一旦保留され、パネルの「保留中の操作」に表示され、その内容を確認することができる。その操作が間違いないことを確認して、ツールバーの「適用」をクリックすれば、操作は完了する。操作によっては、再起動が促される場合があるので、その指示に従えばよい。直前に保留した操作だけを取り消す場合は「取り消す」を、すべての保留中の操作を破棄する場合は「破棄」をクリックする。
図-2

図-3

●② パーティションの操作
パーティションに対して実行することができる操作も、同様に、対象とするパーティションを右クリックすることによって表示させることができる。図-4は、GPTディスクのNTFSのパーティションを右クリックしたところ、図-5は、MBRディスクのNTFSのパーティションを右クリックしたとこである。通常のデータ・パーティションは、GPTとMBRで操作にほとんど違いはない。
とはいえ、GPTディスクのパーティションには、「アクティブ/非アクティブに設定」と「パーティションを論理に設定」がないことに気付いて、「なぜ?」とその理由がどうしても気になる人は、こちらをご覧ください。簡単に説明すると、MBRにはプライマリパーティションの1つにアクティブフラグを設定する領域があるが、GPTにはそのような領域がないからであり、MBRでは4つしかプライマリパーティションを作成できないため、1つの拡張パーティションを設け、その中に複数の論理パーティションを作成する必要があったが、GPTではデフォルトで128個のプライマリパーティションを作成することができるため、論理パーティションを作成可能にしておく必要がなかったからである。
ともかく、ディスクの状況、パーティションの特性などによって可能な操作は異なることになる。
図-4

図-5

●③ 主な機能
パーティションの基本的な機能・操作としては、作成、削除、フォーマット、移動/サイズ変更、拡張、結合、分割などがある。MiniToolでは、Windowsの標準ツールではできない操作がいとも簡単にできてしまう。「ディスクの管理」では、パーティションの拡張は、後方にしかも隣接した未割り当て領域がなければ、不可能であるが、このソフトにはそのような制約はまったくない。
◎ 移動/サイズ変更
「移動/サイズ変更」では、パーティションは、前方にも後方にも、そのサイズを広げることも狭めることもでき、移動させることもできる。もちろん、パーティション内のファイルはそのままである。
◎ 結合
「結合」では、2つの隣接するパーティションを1つに結合させることができる。なんと、どちらのファイルも消失させずに、これを行うのである。ただし、この「結合」は、NTFSのパーティションでなければ、おこなうことはできない。従って、FAT12/16/32のパーティションは、一旦「FATをNTFSに変換」機能を使ってNTFSに変換した後に、この操作を行わなければならない。
◎ 拡張
驚くべきは「拡張」である。この機能は、Windowsの「ディスクの管理」にもあるが、それとは完全に異なるものである。「ディスクの管理」の拡張は、前述したように後方の隣接した未割り当て領域に対してのみ行うことができる機能であるが、MiniToolの拡張は、同じディスク内であれば、隣接しない離れた未割り当て領域に対して行うことができる。それどころか、他の離れたパーティション内の空き領域を取り込むことにより、パーティションを拡張させることもできるのである。この場合も、もちろん、両パーティションのファイルに影響はない。図-6は、マニュアルにある「パーティションの拡張」の操作画面である。
図-6 (マニュアルより)

この「拡張」は、複数のHDDを搭載することができないノートPCにおいては、「移動/サイズ変更」とともに、極めて重宝な機能である。これが無料で使えるのであるから、インストールしておかない手はない。
◎ ファイルシステムチェック
便利な機能としては、「ファイルシステムチェック」がある。chkdsk.exeは、コマンドプロンプト又はPowerShellを管理者権限で開いて、chkdskコマンドを打てば実行でるが、そのような手間をかけずに「ファイルシステムチェック」をクリックするだけでそれを実行することができる(図-7)。
図-7

◎ FATをNTFSに変換・NTFSをFATに変換
「FATをNTFSに変換」は、パーティションのファイルをそのまま保持したまま、文字通り、ファイルシステムをFAT12/16/32からNTFSに変換する機能である。また、その逆の「NTFSをFATに変換」も行うことができるが、無料版では使うことができない。FATをNTFSに変換することは、Windowsのconvertコマンドでも行うことが可能であるが、その逆は不可能となっている(「Microsoft Docs」の「Windows のコマンド」の「convert」)。
◎ ディスク/パーティションの抹消
基本的な機能とは言えないが、「ディスク/パーティションの抹消」がある。独特な機能であり、有用な場面もあろう。この「抹消」は、ディスクに対しても、パーティションに対しても実行することができる。どちらの抹消であっても、同じ「ディスク/パーティションの抹消」の操作ウィンドウが現れる(図-8)。「抹消」とは、Windows上に表示されないものも含め、すべてのデータを、セクタを0又は1その他の値で埋め尽くすことによって、完全に消去し、復元不可能にすることである。データ抹消については、こちらを参照してください。
図-8 (マニュアルより)

「ディスクの抹消」を実行した結果は、図-9のようになる。GPTディスクを抹消した場合、データやパーティションはすべてなくなり、未割り当て領域のMBRディスクとなっている。これは、先頭セクタにあるMBR内のパーティション・テーブルは空白となっているが、MBR自体は残っていることを示している。GPT領域のみならず、先頭セクタのMBRも消去する、DiskPartのclean allコマンドなどの通常の抹消ツールとは異なる。
図-9 (マニュアルより)

「パーティションの抹消」を実行した場合、図-10のように、パーティションは、未割り当て領域とはならず、「未フォーマット」(RAW)となる。これは、パーティション上のデータはすべて消去されているものの、そのパーティションの位置やサイズなどを指定する値がパーティション・テーブルにそのまま残っていることを示している。このようにパーティションだけを対象にして抹消することは、DiskPartはおろか、他の抹消専用のソフトでもなかなか実行できない機能といえる。
図-10 (マニュアルより)

◎ ブータブルメディア
「ブータブルメディア」は、OSが起動しない場合、あるいはOSを起動させずに、それを使ってMiniTool Partition Wizardを起動させることができるので、非常に有用なメディアである。これを作成するには、プロ版以上のエディションでなければならない。このブータブルメディアは、Windows PE (WinPE:Windows Preinstallation Environment) ベースしたものであり、USBメモリまたはCD/DVDが対象となる。
●④ 際立つ機能
◎ MBRディスクをGPTに変換・GPTディスクをMBRに変換
「MBRディスクをGPTに変換」又は「GPTディスクをMBRに変換」機能は、ディスク内のファイルを維持したまま行うことができる。「MBRディスクをGPTに変換」するには、図-11のように対象となるディスク上で右クリックして「MBRディスクをGPTに変換」をクリックするか、パネルの「MBRディスクをGPTに変換」をクリックする。
図-11

そうすると、図-12のように、パネルの「保留中の操作」に、例えば「ディスク1をGPTに変換」と表示され、ツールバーの「適用」をクリックすれば、操作は完了する。
図-12

ところが、この機能は無料版で可能だが、OSがインストールされているMBR又GPTのディスクをそれぞれGPT又はMBRに変換するには、プロ版以上のエディションが必要である。
OSディスクがMBRである場合は、Legacy BIOSモードの起動であり、OSディスクがGPTである場合は、UEFIモードの起動である。起動プロセスが異なっており、Windowsの起動に重要な役割を担うシステムパーティションは、通常、MBRディスクでは「システムで予約済み」と、GPTディスクでは「EFIシステムパーティション」と表示され、各ファイルシステムやパーティションType IDが異なる。それぞれのシステムパーティション内の起動関連ファイルも異なる。そのため、これらの変換は、マザーボード上のNVRAM(Non-Volatile RAM)内のブートエントリの変更も含め、種々の変更を伴う。それ故、この機能を有料版でのみ行えるとするのは、妥当であろう。
◎ ディスク/パーティションのコピー
「パーティションのコピー」は、単独のパーティションを未割り当て領域にコピーするものである。図-13を見れば分かるように、「パーティションをサイズ変更してコピー」することも可能であり、未割り当て領域のどの位置にコピーするかも指定可能である。
通常は、主にデータ・パーティションのバックアップや移転などに使用される。OSのインストールされているパーティションを単独でコピーしたものを起動に使うには、ブートシーケンスを熟知していることが求められよう。マニュアルにも『正常な起動のために、「ディスクのコピー」機能でシステムディスク全体をコピーするか、「OSをSSD/HDに移行」機能でシステム起動に必要なパーティションまたはシステムディスク全体をコピーしてください。』と注意が促されている。
図-13 (マニュアルより)

「ディスクのコピー」は、ディスク全体を丸ごと他のディスクに写し取ることを指し、「クローン」(clone)又は「デュープリケート」(duplicate)と言われるものと同じである。コピー元のディスクがMBRであれば、コピー先のディスクもMBRとなり、コピー元がGPTであれば、コピー先もGPTとなるのは当然である。これについて、web上では怪しげな意見が披瀝されることもあるが、「ディスクのコピー」ないしクローンは、原則としてMBR又はGPT領域のセクタ上の情報をすべて写し取るのであるから、これは当たり前である。
ただし、コピー先ディスクがコピー元のそれよりサイズが小さいこともあれば、大きいこともあるので、図-14のように、「コピーオプション」で「パーティションをディスク全体に合わせる」を選択しておけば、コピー先ディスクにコピー元のパーティションと同じ比率でパーティションが按分配置される。
さらに、「行先ディスクのレイアウト」を見て、「選択されたパーティションを変更する」という機能を使って、各パーティションのサイズを手動で自由に変更することも可能である。この機能は、極めて有用有益である。例えば、OSが入っているディスクをそれより大きなサイズのディスクにコピーする場合、EFIシステム・パーティションのサイズは変更せずに、OSの入っているパーティションだけサイズを大きくしたいときに、それぞれのパーティションのサイズを望むサイズに調整することができる。
一般的なクローン・ソフトでは、クローン先のディスクサイズは、クローン元のそれと同じか、それより大きくなければ、クローンできない、あるいはクローンに失敗する、とされることが多いが、このMiniTool Partition Wizardでは、そのような制限はなく、心配は無用である。コピー先となるディスクのサイズが、コピー元の使用済み容量を超えてさえいれば、コピー先のサイズがコピー元のサイズより小さくても、コピーすることが可能である。
図-14 (マニュアルより)

この場合、コピーオプションで「行先ディスクにGUIDパーティションテーブルを使用する」にチェックを入れると、MBRディスクをGPT(GUID Partition Table)ディスクとしてコピーすることが可能となる。これは、前述の「MBRディスクをGPTに変換」をコピーと同時に実行するものといえる。単なるデータ・ディスクであれば、無料版でこれを行うことは可能である。しかし、OSディスクであるMBRディスクをGPTディスクにしてコピーするには、プロ版以上のエディションが必要である。
◎ OSをSSD/HDDに移行する
「OSをSSD/HDDに移行する」と上のOSディスクを「コピー」するとは、基本的に同じ機能であるが、図-15の「OSを移行する方法は?」という選択画面が「OSをSSD/HDDに移行する」では表示される。
「A」を選ぶと、OSディスク上のすべてのパーティションがコピーされるのであるから、OSディスクのコピーと同じ操作となる。
「B」を選ぶと、OSの起動に必要なパーティションのみがコピーされることなる。OSパーティション、システム・パーティション、回復パーティション等がコピーされ、単なるデータ・パーティションはコピーされないことになる。
この操作は、無料版でも実行できる。
図-15 (マニュアルより)

この操作においても、図-16のように、「行先ディスクにGUIDパーティションテーブルを使用する」を選択すれば、OSディスクがMBRであっても、GPTディスクとして移行させることができる。この操作画面は上記「ディスクのコピー」の操作画面と同じものである。この操作を行うには、コピーの場合と同様、プロ版以上のエディションが必要である。
注意しなければならないのは、OSディスクにおいて、「MBRディスクをGPTに変換」を実行した場合、「ディスクのコピー」や「OSをSSD/HDDに移行する」でMBRからGPTに変換を行った場合には、UEFIモードにしなければOSは起動しないので、UEFI BIOSの設定変更が必要になることがある、ということである。
図-16

◎ パーティションの復元
その他に、「パーティションの復元」という機能は、誤って削除してしまったり、何らかの原因で消えてしまったパーティションを復元することができるものであり、残念ながら、無料版では利用することはできない。
◎ データ復元
また、「データ復元」は、プロ・アルティメット版やビジネス向けのエンタープライズ版などでのみ利用できる。プロ・アルティメット版は、3台のPCにインストールすることが可能であり、パーティション管理ソフトでデータの復元までできるのだから、3台以上のPCを使用している人にはお得と言えるかもしれない。
■3. 留意すべきこと
●① 操作前にマニュアル読む
操作する前には、その操作に関するマニュアルには必ず目を通しておくべきである。ディスクないしパーティションに変更を加えるということは、PCにおいては重大な変化をもたらすものであり、マニュアルにはそういった操作の意味や注意点が記載されている。それらを知らずに操作したばかりに思わぬ結果となることもある。
●② 操作前にバックアップをとる
ディスクないしパーティションを変更する操作をする前には、万が一に備えて、変更する部分をバックアップしておくべきである。ディスク/パーティションに何らかの変更を加える場合には、MiniTool Partition Wizardを用いるときに限らず、必ずバックアップをとっておくべきである。予期せぬ事態が発生した場合、特に、OSの入っているディスクないしパーティションでそれが起こった場合には、取り返しのつかないことになりかねない。マニュアルでも、これは繰り返し注意喚起されている。
●③ パーティションの構造・機能を知っておく
パーティションの基本的な構造や機能を知っていなければ、このソフトを用いてパーティションに変更を加える意味を理解することも、その必要性を判断することもできないし、最適な操作を選択することもできないであろう。となれば、選択した操作によっては、期待した効果を得られないことにもなろう。書籍やwebを通じて、改めてパーティションの基本を確認しておくとよいかもしれない。拙文「フォーマット、その1~物理フォーマット」や「フォーマット、その2~論理フォーマット」も一読していただければ幸いである。
●④ MBRとGPT、Legacy BIOSとUEFIの違いを知っておく
MBRとGPTは、パーティションの指定方式が異なる。具体的には、そのタイプ、位置、サイズ等の指定の仕方が異なる。とはいえ、パーティション自体に相違はない。それ故、MBRとGPTとの相互変換は、MBRとGPTのセクタ領域の各値を読み換え、計算し直せばよいのであるから、単なるデータ・ディスクではさして問題とならない。
しかしながら、それがOSディスクとなると、ことは簡単ではない。Legacy BIOSとUEFIの起動プロセスは大きく異なっており、Legacy BIOSではMBRディスクが起動ディスクとして使用され、UEFIではGPTディスクが起動ディスクとして使用される。Legacy BIOSにおけるMBRとUEFIにおけるGPTとでは、ブートローダーもそれを保存するシステム・パーティションも異なる。その上、Legacy BIOSでは、OSディスクを優先順位の中に挙げておけば、OSは起動するが、UEFIでは、マザーボード上のNVRAMに格納されたブートエントリの第1順位にOSローダを直接指示するエントリを登録しておかなければ、OSは起動しない。
このように、OSディスクにおけるMBR・GPT変換は、OSの起動シーケンスの変更を伴い、UEFIの設定変更が必要となることもあるので、これらの相違を知っておくことが大切である。詳細については、書籍やwebサイトに目を通すほかない。例えば、「Windows 10 PC UEFI BIOS(UEFI)の役割としくみ 」や、拙文「UEFIについて」などが参考になるかもしれない。
自力でやろうとすれば、かなり面倒な作業を行わなければならないパーティションに関する操作をいともたやすくこなしてしまうMiniTool Partition Wizardは、この上なく便利でありがたいソフトである。しかし、そうであるからこそ、その扱いは慎重であることが求められるということができる。
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No title
ふうえん様
こちらでも、ご返事くださり、誠にありがとうございます。
おかげで、さらに理解が進みました。
フォーマットに関する記事の方も、もう一度読み直してみました。
全ては理解できなくとも、以前と比べると格段に実感をともなって感じれるようになったきがします。
素晴らしい記事を公開くださりとても有り難いです。
知恵袋はよく利用しますので、
また機会ありましたら、ぜひどうぞよろしくお願いします^^
こちらでも、ご返事くださり、誠にありがとうございます。
おかげで、さらに理解が進みました。
フォーマットに関する記事の方も、もう一度読み直してみました。
全ては理解できなくとも、以前と比べると格段に実感をともなって感じれるようになったきがします。
素晴らしい記事を公開くださりとても有り難いです。
知恵袋はよく利用しますので、
また機会ありましたら、ぜひどうぞよろしくお願いします^^
Re: フォーマットに関する知恵袋の件
nyantaroさん
コメントありがとうございます。
論理フォーマットである完全フォーマット(通常フォーマット)は、そのパーティション内に存在したデータのみを消去するものであり、他のパーティションやMBR領域などはそのままで何ら消去作業が行われることはありません。また、論理フォーマットである以上、データ消去の後に当該パーティションの先頭セクタ等にはパーティション管理情報やファイルシステムとしてファイルの基本管理情報の初期値がメタデータ(要するに、ユーザーには明示されない内部データ)として改めて書き加えられます。
詳細は、本サイト内の「フォーマット、その2~論理フォーマット」(http://blog.phooen.com/blog-entry-77.html)をお読みください。
これに対して、ローレベルフォーマット(物理フォーマット)は、通常、ディスクの全てのセクタに対して消去を実行するものです。セクタ0から最後尾のセクタまで、MBR・GPT領域内のデータやディスク内に存在するすべてのパーティションに関わるデータを含む、およそユーザーがアクセス可能な全セクタのデータが抹消されます。
従って、データ消去としての物理フォーマットは、HDD等を廃棄・譲渡する場合に、情報の漏出を防止するために行われるのが一般です。これについては、知恵袋でも示しておきましたが、「フォーマット、その1~物理フォーマット」(http://blog.phooen.com/blog-entry-76.html)に詳説しておりますので、ご一読ください。
コメントありがとうございます。
論理フォーマットである完全フォーマット(通常フォーマット)は、そのパーティション内に存在したデータのみを消去するものであり、他のパーティションやMBR領域などはそのままで何ら消去作業が行われることはありません。また、論理フォーマットである以上、データ消去の後に当該パーティションの先頭セクタ等にはパーティション管理情報やファイルシステムとしてファイルの基本管理情報の初期値がメタデータ(要するに、ユーザーには明示されない内部データ)として改めて書き加えられます。
詳細は、本サイト内の「フォーマット、その2~論理フォーマット」(http://blog.phooen.com/blog-entry-77.html)をお読みください。
これに対して、ローレベルフォーマット(物理フォーマット)は、通常、ディスクの全てのセクタに対して消去を実行するものです。セクタ0から最後尾のセクタまで、MBR・GPT領域内のデータやディスク内に存在するすべてのパーティションに関わるデータを含む、およそユーザーがアクセス可能な全セクタのデータが抹消されます。
従って、データ消去としての物理フォーマットは、HDD等を廃棄・譲渡する場合に、情報の漏出を防止するために行われるのが一般です。これについては、知恵袋でも示しておきましたが、「フォーマット、その1~物理フォーマット」(http://blog.phooen.com/blog-entry-76.html)に詳説しておりますので、ご一読ください。
フォーマットに関する知恵袋の件
フォーマットに関する知恵袋の方ではとても有益な回答をくださりありがとうございました。
追加で疑問が発生しお聞きしたいと思い、プロフィールを閲覧させていただきましたら、こちらに辿り着きました。
歴史に関して等様々な方面への深い見識をおもちなのですね!
さて、追加の質問の件ですが、
ローレベルフォーマットと完全フォーマットの違いや挙動はよくわかりましたし、今回の自分のケースの場合、わざわざローレベルフォーマットをする必要はないという認識にお陰様て至ったわけなのですが…
では、ローレベルフォーマットは、どのようなケースで必要・有効な手段となるのでしょうか?
※データを復元不可にするだけなら、完全フォーマットで十分だと思いますし…
もしよろしければ、教えていただけないでしょうか?
追加で疑問が発生しお聞きしたいと思い、プロフィールを閲覧させていただきましたら、こちらに辿り着きました。
歴史に関して等様々な方面への深い見識をおもちなのですね!
さて、追加の質問の件ですが、
ローレベルフォーマットと完全フォーマットの違いや挙動はよくわかりましたし、今回の自分のケースの場合、わざわざローレベルフォーマットをする必要はないという認識にお陰様て至ったわけなのですが…
では、ローレベルフォーマットは、どのようなケースで必要・有効な手段となるのでしょうか?
※データを復元不可にするだけなら、完全フォーマットで十分だと思いますし…
もしよろしければ、教えていただけないでしょうか?